こんにちは、クラウドエース編集部です。
ChatGPT をはじめとする、生成系 AI (Generative AI) と呼ばれるサービスがあらゆるビジネスシーンで活用され始めています。アプリケーションの開発現場では、コードを書かせたりエラーを修正させたりといったシーンですでに活用されています。そんな中、各クラウド企業は開発支援に特化した AI ベースの機能を発表しています。
この記事では、「AI ベースの開発支援機能」とは具体的にどのようなものかについて解説した上で、Google Cloud が提供する AI を利用した開発支援サービス「Duet AI」の概要や、他社の類似サービスとの比較をしていきます。
「AI ベースの開発支援機能」とは
AI ベースの開発支援機能とは、簡単に言えば「AI がアプリケーション開発をサポートしてくれるサービス」のことです。
具体的な機能はサービスにより異なります。例えば、コードを書くとリアルタイムでエラーや脆弱性を指摘してくれたり、開発に関する質問を投げかけると会話形式で回答してくれたり、必要な機能を自然言語で伝えると、それを構築するためのコードを提案してくれたりします。
これまでは、新しいアプリケーションを開発する際には設計、要件定義、コード執筆、エラーの修正を人の手で行う必要がありました。しかし、AIベースの支援機能を利用することで、これまで開発者にかかっていた作業負荷を圧倒的に軽減することが期待できます。そして、AI がまだ完全には置き換えることができない創造性やコミュニケーションなど、人間にとって付加価値を生み出す作業にフォーカスすることができます。
Duet AI とは
Duet AI は、Google Cloud が発表した AI ベースの開発支援機能です。アプリケーション開発における執筆からコード作成までサポートしてくれるサービスです。
Duet AI の大きな特徴の一つは、スキルレベルを問わずさまざまな人が便利に利用できることです。開発者向けの適切なコードを推奨してくれる機能をはじめ、データエンジニア向けのプロンプトベースのインサイト機能、非エンジニアでもチャットベースでアプリを作成できる機能などが備わっており、あらゆる人が簡単に AI による開発支援を体験できます。
Duet AI の主な機能は 3 つあります。それぞれの機能について、詳しく見てみましょう。
コードアシスタンス
1 つ目の機能は、コードアシスタンスです。これは、主にアプリケーション開発者やデータエンジニア向けの機能で、AI がコード入力のサポートをしてくれるものです。
具体的には、コードを入力するとリアルタイムで推奨事項が表示されます。コードの脆弱性やエラーを特定し、修正すべき箇所と内容を瞬時に把握することができます。これにより、正確な関数やコードブロックをより短時間で書くことが可能となります。
この機能は、 マネージドなリモート開発環境である「Cloud Workstations」や、統合型管理コンソール「Google Cloud Console」など、Google Cloud の複数のサービスで利用可能です。なお、対応言語には Go、Java、Javascript、Python、SQL などが含まれます。
チャットアシスタンス
2 つ目の機能は、チャットアシスタンスです。これは、アプリケーション開発やクラウドに関連した質問への回答を会話形式で得られる機能です。
チャットアシスタンスを利用し、指定のクラウドサービスの使用方法についてガイダンスをさせたり、プロジェクトの実装計画を立案させたりすることが可能です。これにより、開発に必要な関連ドキュメントを調べる手間を大幅に省くことができます。
この機能は Google Cloud の各種プロダクトが対象となる予定です。開発者はもちろんのこと、オペレーターやデータエンジニア、セキュリティ専門家などあらゆる人の業務効率化に役立てることが期待されています。
Duet AI for AppSheet
3 つ目の機能は、Duet AI for AppSheet です。これは、チャット上で必要な機能を伝えるだけで、コーディングなしでアプリケーションを構築できる機能です。
これは AppSheet の機能のひとつとして提供されており、Google Workspace で利用できます。自然言語による会話を進めるだけで開発できるため、、職種を問わず誰でも簡単にアプリを作ってビジネスに活用できるようになります。
例えば、Duet AI for AppSheet を使えば、それぞれの業務において「こんな機能があったらいいのに」「これを自動化できたらな」と感じたことをすぐにアプリとして機能させることができます。また、各部門の人が自分で開発できるようになることで、開発部門の人はより高度な作業に集中できるようになるというメリットもあります。
Duet AI の類似サービスとの比較
このような AI を用いた開発支援機能を提供するのは Google Cloud だけではありません。各クラウド事業者が生成系 AI を活用した開発支援サービスを発表しています。ここからは、他社の Duet AI に似たツールについて見ていきましょう。
Copilot X
画像引用元: https://github.blog/jp/2023-03-23-github-copilot-x-the-ai-powered-developer-experience/
Copilot X とは、ソフトウェア開発のプラットフォーム「GitHub」と ChatGTP を開発した「OpenAI」の提携により誕生した AI 開発ツールです。
Copilot X の前身に「GitHub Copilot」というツールがあります。これは世界初の大規模な生成系 AI 開発ツールであり、コメントやコードの自動補完などを行うサービスです。GitHub Copilot はリリースから 2 年足らずでコードの 46% を記述し、開発者のコーディングを最大で 55% 高速化させるという大きな結果を残しています。
Copilot X は、このような GitHub Copilot を進化・改良させたものです。具体的には、Copilot X には GPT-4 が採用され、さらにチャットと音声機能が導入されています。開発者は Copilot X にコードを書いたり、コードにさせたいことを伝えるだけで、簡単に各コードの処理内容に関する詳しい分析や説明、テストの生成、バグに対する修正案を得られるようになります。
Code Whisper
画像引用元: https://aws.amazon.com/jp/codewhisperer/
CodeWhisper は、AWS が提供する AI ベースの開発支援サービスです。数十億行のコードによってトレーニングされており、コメントや既存のコードに基づいて、スニペットから完全な関数など、あらゆるコードをリアルタイムで提案してくれます。
CodeWhisperer のプレビュー公開中に Amazon により実施された調査では、この機能を利用することでデベロッパーの生産性を大幅に向上させることがわかりました。具体的には、CodeWhisperer を使うことで正しくタスクを完了できる可能性が 27% 高くなり、タスクを完了させるスピードが 57% も上がったとのことです。
プレビュー公開中の結果ではありますが、このように 時間のかかっていたコーディング業務を大きく効率化することができます。また、たとえ使い慣れていない API であっても、簡単かつ迅速にアプリケーションを構築できるようになるでしょう。
IBM Watson Code Assistant
画像引用元: https://www.ibm.com/products/watson-code-assistant
IBM Watson Code Assistant は、IBM が提供する AI ベースの開発支援機能です。「あらゆるレベルの開発者が、AI が生成する推奨コードを使用してコードを記述できるようにする」ことを目的に生まれたサービスです。
IBM Watson Code Assistant では、自然言語入力に基づいてコードを提案してくれます。具体的な機能・特徴としては、以下の 4 つのポイントが挙げられます。
- コードの生成:自然言語でのリクエストから、適用可能な構文を持つコードを生成
- モデルチューニング:企業独自のデータでチューニングを行い、質を高める
- カスタマイズ性:企業や業界のベストプラクティスを適用しながらモデルをカスタマイズ可能
- データソースの帰属の確認:生成されたコードのリソースを可視化することで、透明性を高める
これらの機能により、開発者はより効率的に、より正確なコードを記述できるようになります。また、開発者の IT スキルギャップの解消にも繋げられるでしょう。自然言語をコードに翻訳することができるため、エンジニアなどの専門家はもちろん、それ以外の人も広く活用できます。
まとめ
ここまで、Duet AI をはじめとする AI ベースの開発支援機能について紹介してきました。この記事を参考に、自身のビジネスへの AI による開発支援サービスの活用を検討してみてください。
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